二次元のジェンダー

【意見まとめ】ラブライブ! 沼津PRパネルは過度に性的だったのか?【炎上考察】

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2020/2にTwitter上で炎上・騒動になった「ラブライブ!サンシャイン!!」とJAなんすんがコラボした「等身大パネル問題」のまとめです。

否定派・擁護派のそれぞれの主張を整理し、何が問題だったのかを自分なりに考察してみました。

ラブライブ! 沼津PRパネル炎上の背景

JAなんすんは沼津市西浦地区特産の「寿太郎みかん」をPRのため、人気アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」とコラボ。
(ちなみにラブライブ!サンシャイン!!は沼津市を舞台にしたアニメであり、以前から沼津市と積極的にタイアップしている)

その際に設置されたキャラクターの等身大パネルのデザインが「スカートが透けているように見える」・「過度に性的な表現である」といった批判的な意見が寄せられたことが騒動の発端に。

批判を受け、展示されていたパネルはわずか4日間で撤去(移動?)

撤去後、ネット上では「パネルの再設置を求める署名活動」が始まり、2万人近くの署名が集まるなど。大きな騒動になった。

騒動に対するTwitterの主な反応

否定派

この内容の広告で、スカートをぴっちりさせて股間と太ももを際立たせる必要がどこに?

なんで公共の場で貼るポスター絵のスカートが透ける必要があんだよ

絵柄自体はとても可愛いのに不自然な影が…JAさんという公的なお仕事で大丈夫なのか心配ですが

制服のようなしっかりした硬い素材のプリーツスカートにこんな妙な皺が入ることはあり得ません…。

否定派の主な意見

・わざわざ股間や太もも、あるいは下着のラインを想起させるように描くのは、多くの人が見ることになる広告デザインとして相応しくない

・現実ではあり得ない皺を描いてまでキャラクターを性的に描いている。→過度に性的な表現である

擁護派

ファンは「おめでとう」のメッセージを残しているくらいでスカートに着目したコメントなんてない。 大騒ぎしてるのはあんたらツイフェミくらい

ぶっちゃけ一般人やヲタクは、スカートなんかに目が行きません。

ラブライブがスカートの影云々で女性蔑視言われてるのマジなんか。普通に可愛くて良きだけどなぁ。

PRだし広告だし、訴求すべき相手は、キャラが好きで、沼津に興味持ってくれて、ミカン買ってくれる人だけでいいんですよ。

擁護派の主な意見

・そもそもスカートの皺を「透けてる」・「下着のライン」なんて解釈をしない。

・制服の皺のラインだけで「過度に性的」だなんて考えすぎ。

・一定の条件下によっては現実でも同じような皺はできるのでは?

まとめ・考察

双方の意見を整理すると主だった問題点は

①そもそも今回のポスター・パネルは「過度に性的に誇張されたデザイン」なのか?

②広告としてふさわしいデザインなのか?

の2点。この2つは同じようですが、似て非なる性質があり、そこを同列に扱うことが問題をややこしくしています。

ポスター・パネルは「過度に性的に誇張されたデザイン」なのか?

この問題を語る上で、まず大前提として、

今回のデザインと同じようなスカート皺が、現実にあり得るかどうかは一切関係ない」ということ。

Twitter上では「この皺は現実ではあり得ない」・「いや、あり得る」なんて議論がなされているのを散見するのですが、問題はそこではなく、

このデザインが過度に性的なのかどうか?」でしょう。

そもそも絵なのだから、別に実際にあり得ないものを書いてもいいんです。否定派の方々の

「わざわざ現実としてあり得ない皺を描いているのは、性的な誇張をしたいからだ!」

という主張自体は理解できます。ですがアニメや漫画などの創作物においては一概にそうとは限りません。

今回の騒動に対して、漫画家の篠房六郎先生がツイートされた技術的な観点での考察・解説がとても参考になります。

篠房六郎先生のツイートから分かるように、アニメや漫画などでは「キャラクターの立体感を演出するために衣服に皺を描く手法」は比較的一般的であり、そしてその結果として服が体に張り付いているように見えることがあります。

この辺りは漫画やアニメに触れている人なら言われなくてもなんとなくピンとくるのですが、普段アニメや漫画を見ない人には伝わりづらい感覚だと思います。
(この“伝わりづらい感覚”こそが否定派・擁護派を分断する一要素)

そしてこの皺を描く手法には様々な意図があり、「わかりやすく立体感を出すため」に描く場合もあれば、否定派の主張通り「キャラクターを性的に描くため」に使われる手法でもあります。

つまり、大事なのは今回の騒動の要因になったスカートの皺は

必ずしも性的に描こうとして付け足されているわけではない

という点であり、そして同時に

見ようによっては性的に強調されたように見えるデザインでもある」ということです。

この認識のズレが否定派と擁護派の中で生じてしまっているように感じます。

原作を見ていない方にはわかりづらいとは思いますが、そもそもラブライブ!はむやみに性的な表現をすることで男性ファンを獲得しているアニメではありません。

ほとんどのファンは性的対象としてではなく、真っ直ぐ夢に向かって歩む少女たちの努力や友情・ストーリーに魅力を感じているファンです。(もちろんいわゆる萌えと呼ばれる要素も魅力の一つではあります)

ですからあのイラストを見て、

「スカートの皺を気にしたり、ましてや性的に感じたりしない。気にしすぎ」

というファンの意見は概ね本心だと思いますし、自分たちの正当性を主張するために

「エロくない!」とか「性的な絵じゃない!」

と言っているわけではないはずです。

擁護派の方達からすると、自分たちの愛するコンテンツが不当な評価を受け、弾圧を受けている、もしくは自分たちがさも性差別主義者であるように扱われることが、否定派に対して攻撃的になってしまう理由でしょう。

誰だって自分が好きなものを「気持ち悪い」・「エロいから好きに違いない」なんて言われれば傷つくのは当然です。

もっというならば、元々オタク・オタク文化というのは差別の歴史に晒されてきたカルチャーのため、攻撃的に見える批判に対し過敏に反応してしまいがちです。

この辺りは否定派の方々には理解していただきたいところです。

しかしだからといって、一部の擁護派に見られる「攻撃されたからこちらもやり返す」というスタンスが正しいわけではもちろんありません。

大切なのは共通の問題について話し合っているつもりでも、

根底の価値観・認識が全く違う」ことを双方が理解・尊重していないことです。

価値観が違うのが問題なのではなく、「価値観が違うことを理解しようとすることなく、お互い好き勝手に意見をぶつけ合っている」ことが摩擦の原因ではないでしょうか。

今回のイラストは広告としてふさわしいか?

イラストに対する否定派と擁護派の解釈の違いについて考察したところで、「広告として今回のデザインがふさわしいのかどうか?」についての考察。

まず今回の広告によってJAなんすんの「寿太郎みかん」のコラボパッケージみかんはオンライン上で完売、ネット上の検索数においても、過去5年の中で最高を記録するなど、宣伝効果としては申し分のない成果をあげました。

この成果は炎上騒動による影響も大きいとは思いますが、ラブライブ!の人気・広告効果を裏付けるものであり、コラボ企画自体は正解だったと言えるでしょう。

しかし、肝心のデザイン面に関しては一考の余地があった、もっといえば配慮に欠ける要素が少ならからず存在したのは事実でしょう。

やはり本件に描かれているスカートの皺は「必ずしも性的に描こうとして付け足されているわけではない」が、「見ようによっては性的に強調されたように見えるデザインでもある」のです。

この認識のギャップは先に考察した通り、普段からアニメや漫画に触れている人と、あまりアニメなどに関心がない人によって隔たりが存在します。

今回の広告はファンだけが目にするクローズドな広告ではなく、ショッピングモールなどに展示され、多くの人の目に触れる広告です。

そのようなオープンな広告であること、アニメ・漫画などの創作物に対する印象は、人によって大きな隔たりがあるコンテンツであること、そして昨今のSNSの発展により一個人の批判が大きな騒動になる時代であることを念頭におくべきだったのではないでしょうか。

私自身はあのスカートの皺は「性的な表現をするために描かれた」わけではなく、「より魅力的なキャラ・デザインにするための創意工夫の一つ」だと認識しています。

ですがファン以外の人間の目に触れる、いわば公共性を伴うデザインの場合は一定の配慮をしていればこのような事態にならなかったのではと感じます。

世の中には様々な価値観をもった人がいます。多様な価値観が存在する中、広告・宣伝を行うことに一定の責任が伴うのは仕方のないことではないでしょうか。

しかし同時に、そして何より大切で理解しなければいけないのは、

「ラブライブ!」という作品・広告のモデルとなったキャラクター自体が広告にふさわしくない、ということではありません

否定派の方には今回の広告を「気持ち悪い」・「エロ漫画」などと侮蔑的な表現をされる方もいますが、この作品を純粋な気持ちで応援・愛する方がいることを尊重すれば、そのような表現が正しくないことはわかるはずです。

擁護派の方も、自分にとっては性的なデザインではないにせよ、他者から見ればそのように映る可能性があることを尊重することが大切ではないでしょうか。

終わりに

今回の騒動を含め、「創作物に対する性的視点からの批判」に一番傷ついているのは、制作サイドのみなさんではないでしょうか。

制作に携わった方たちが一生懸命創り、育ててきた作品がたった一つの広告デザインによって「性的で不快な創作物である」と非難を浴びるのはあまりにも不憫です。

アニメ・漫画が一定の市民権を得ており、町おこしや地域活性化に大きく貢献するまでに至っている今だからこそ、多くの方に愛される広告デザインのあり方・価値観が求められているのではないでしょうか。

本件に関して、ご意見などがございましたらコメントにてお待ちしております。

POSTED COMMENT

  1. blank いっち より:

    こういう騒動、結局は極端に針が振れてる人達の争いになるから冷静になんてなれないよね。

    ネット界隈にいる主義主張する輩は揃いも揃って声がデカいせいで冷静な意見などかき消されてしまうのが悲しいところ。

    今記事の件についてはそこまで変に思わないけど、のうりんとかのイラストやアニメ内容はオタク文化というか同人文化的というのかわからないけど、それが悪さしてるような絵で、アニメ好きからしてもそれはちょっと…なイラストだった。

    どちらにしてもバランスが大事な気がする、クライアント側の要望もあるから単に絵描きや文化が悪い訳ではないけど全く興味ない人から見てもいいなって思える物が多くないとこんなのばっか描いてやがるって思われても仕方ない。

    中立な気持ちでいたけどアニオタ寄りになってしまいま。

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